寄せては返す、
職人の手業。
焼き目を入れ、
味を入れる。
松露の玉子焼は熟練の職人が
専用の鉄鍋で、
〝寄せ〟と〝返し〟を繰り返し、
丁寧に熱を入れていきます。
四層の焼き目には、
だしと卵の味が入り、
焼き目と焼き目の内側はふんわりと
蒸されていきます。
職人は焼きながら箸を入れ、
手に伝わる感覚と目で、
焼き加減を見極めます。
その際、ひと筆書きのように、
箸を動かし過ぎないことも、
玉子焼の食感にとって大切なこと。
松露のジューシーな焼き上がりは、
職人の手業の冴えが決め手です。
鉄鍋は
油で整える。
熱で
卵が踊りだす。
玉子焼は鉄鍋の表面に
油が染み込んでいなければ、
美しく焼けません。
良い鉄鍋で焼けば、熱が入り、
ぷくぷくと卵が踊りだします。
松露では創業当時から、
鉄鍋をしっかりと仕込んできました。
加熱させた鉄鍋に油を敷き、
コトコトコトコト…。
鉄鍋が冷めていくとき、
その表面に油が染みていきます。
この工程を何度も繰り返し
時間をかけて鉄鍋の状態を整えます。
塩の一振りで、
艶、甘味が変わる。
松露のだしの仕込みは、
限られた者だけに継承されます。
鰹や昆布の香り、微妙な塩加減。
その塩の一振りで艶と甘味が変ります。
また松露の玉子焼はだしがたっぷり。
上手く焼き上げるには技と勘が必要。
厚めに切って食べていただくと、
松露のジューシーさを感じられます。